産後は産褥熱が出る!?産後に発熱する原因は?熱が出たときの対処法は…?

出産後のママの体はとってもデリケートな状態となっています。
体力は使い果たし、子宮内にも傷が付き、骨盤も開いてしまっています。
そんな体を今までどおり動かせるようになるのは産後1,2週間経ってからとなりますね。
そして産後に起きてしまう色々なトラブルの1つの産褥熱というものがあります。
出産後直後に発熱が起こってしまうのです。
そこで今回は産後のママに引き起こる産褥熱の原因や対処法について詳しくご紹介してきますね。
目次
産褥熱とは?どんな症状?!
産褥熱は分娩後に24時間以降、産後10日以内に発熱が起こります。
だいたい38度以上の熱が出て2日程続いてしまいます。
まだ抗生物質がなかった時代は、産後すぐに発熱して、体力がかなりなくなってしまっている状態であるため、重症化してしまうことも珍しくありませんでした。
実は産褥熱は産後に女性が苦しみ、死に至ってしまうこともあったものでした。
産褥熱が出る原因とは?
産褥熱が出る原因とは、分娩により子宮腔内、産道などに傷ができてしまいます。
傷は陣痛時に子宮口が開いたかどうか確認する内診や会陰切開の時や止血処理の時にできてしまう傷です。
その傷に細菌が感染してしまい、発熱が起こります。
産褥熱の感染源、感染経路を明確にすることはかなり難しいです。
考えられる感染経路としては…。
- 医療従事者の手や指、手術で使う器具から感染する外因子感染。
- 外陰部や膀胱などの他の臓器の炎症で感染する内因子感染。
の2つが主に挙げられます。
また、胎盤の全部や胎盤の一部が子宮内の残ってしまうと、胎盤遺残により産褥熱が起こってしまうこともあります。
産褥熱の症状はどんな感じ?
産褥熱が出たときの症状は以下のような症状に見舞われます。
- 発熱
- 頭痛
- 倦怠感
- ショック状態
- 多臓器不全
などの症状が起こります。
そしてその症状を観察すると、産褥熱を引き起こしている原因を突き止めることができます。
悪露停滞による産褥熱
悪露停滞により産褥熱が出ているという場合があります。
産後5,6週間程悪露という分泌物が出ます。
生理に似た状態です。
ところがこの悪露が全て出きらずに子宮内に停滞してしまっていると細菌感染が起こってしまい悪露停滞となります。
悪露が出ない原因は子宮の収縮が悪いことが考えられます。
出てくる悪露は普通はさほどきつい臭いがしないものの、悪露停滞が起こっていると悪露から悪臭が漂います。
産褥子宮内膜炎による産褥熱
産褥子宮内膜炎による発熱が起こってしまっていることもあります。
子宮内膜炎により産褥熱が出ている場合、発熱だけではなく下腹部痛も起こります。
下腹部を押されると局部的に子宮に激痛を感じるときがあります。
また、悪露の色が濁ったり悪臭が伴います。
産後3日~5日ほどで起こることが多い傾向があります。
悪露が長く停留してしまい、子宮の中で細菌が増殖してしまい発症すると考えられています。
産褥子宮内膜炎の場合は治療せず放置してしまうと感染症が進んでしまい、子宮筋層炎、旁結合織炎というものになり重症化してしまう可能性があるので注意が必要です。
産褥子宮付属器炎により産褥熱
子宮内膜炎が発症し、感染が子宮だけではなく卵管や卵巣にも広がってしまうと卵管炎や卵巣炎が起こります。
すると産褥子宮付属器炎が起こります。
かなり確率は低いものの悪化に注意する必要があります。
産褥潰瘍による産褥熱
外陰部、膣などに裂傷がおこり、裂傷部分に細菌が感染し、潰瘍が起こってしまいます。
ズキズキ痛くなったり、一部が腫れ上がってしまいます。
産褥敗血症による産褥熱
出産似てできた傷口から細菌が持続的に血流へと入り込んでしまい、全身が細菌感染症に罹ってしまう状態です。
産褥敗血症により産褥熱がでてしまっているという時はかなり重篤です。
39度~40度の発熱が起こります。
多臓器不全やショック状態が起こることがあります。
時に最悪の場合は死に至ってしまうことがあります。
産褥敗血症は早期診断と早期治療が必要となり早ければ救命率が高まります。
産褥熱が出たときの対処法は?
産後に熱が出た場合、熱のすべてが産褥熱と言うわけではありません。
分娩後1週間以内に発熱するということは珍しくないのです。
原因は軽い乳腺炎による発熱や悪露の停留により発熱が起こることがあります。
しかし、2日以上熱が引かないという場合、必ず医師に診てもらい診断、必要な場合は治療してもらわなければいけません。
2日以上続いた場合はすぐに受診しましょう。
基本的に抗生剤による治療が行われます。
内服や点滴により治療を受け、数日後には解熱症状が落ち着きます。
しかし悪露停留、胎盤遺残の場合は抗生剤の治療ではなく他の治療が必要です。
産褥熱になりやすいママとは!?
産褥熱は前期破水や早期破水がおこったり、帝王切開や鉗子分娩を行った場合、子宮内膜炎が起こりやすく産褥熱が起こりやすい傾向があります。
しかし、その他の分娩方法であった場合も分娩は順調だったままでも産褥熱が起こることはあります。
頻繁におこるわけではありません。
産後の入院中に熱がでた場合は迅速な対応が取られるので大丈夫なのですが、退院後に熱がでた場合は注意が必要です。
忙しく落ち着かない生活の中で自分を気にかけることが難しくなりますが、熱が出ている時は放置せず受診しましょう。
骨盤腹膜炎や敗血症になったら危険ですので早期受診早期治療が大切です。
まとめ
産褥熱は自己判断で市販の解熱剤などを飲んでしまうと大変です。
熱を引き起こしている原因を正しい治療により対処し取り除く必要があります。
正しい治療を受けなければどんどん重症化し取り返しのつかないことになってしまうこともあります。
熱が起こり2日以上解熱しないという場合は医師に診断してもらい正しい治療をしっかりと受けましょう。