妊娠中はトキソプラズマ症に注意が必要?!危険な場所は砂場?肉?猫?

妊娠中はトキソプラズマ症に注意が必要です。
実は身近な場所、食べ物、ペットがトキソプラズマ症という病気の原因となってしまうため、妊婦さんは十分に注意が必要なのです。
そこで今回は妊娠中に注意すべき、トキソプラズマ症について、感染経路や感染しないための予防法等をご紹介していきますね。
目次
トキソプラズマ症とは?
トキソプラズマ症のトキソプラズマとは、寄生虫のことを指します。
単細胞生物であり、3つの形態があります。
栄養型
細胞内に寄生し、無性生殖で急増する特徴があります。
摂食で感染することはないものの、目、鼻、粘膜に付着したり、外傷に触れると感染します。
シスト型
脳の筋肉の組織内で分厚く丈夫な球体のシストを作るものです。
室温で数日間、4度前後の空間で数ヶ月間生存することができます。
オーシスト型
一番有名なタイプです。
ネコ科の動物に感染するとオーシストが形成します。
糞尿に混じり、体内から排出されます。
数ヶ月かけ成熟します。
シスト型のように数ヶ月間生存可能であるものの、熱、冷却により不活性化します。
消毒液への抵抗性は強いので難しいですね。
トキソプラズマの感染経路は?
トキソプラズマは、人間に寄生しますし、温血動物に寄生します。
終宿主は猫科の動物となります。
人間が感染する場合、生の肉を食べた猫の糞を処理した際の経口感染が主な感染経路です。
オーシスト型の場合、感染力が強いので、直接糞に触れて居なくても、土壌を経て感染してしまうこともあります。
猫が糞をした土で食物を育てただけで、野菜等を通し感染してしまうこともあるほどです。
食肉による感染
食肉により感染してしまうこともあります。
肉の殆どにトキソプラズマが寄生します。
そのため、肉の種類に関係なく感染源となっています。
しかし、豚や羊は高頻度で発見されています。
生で肉を食べないようにしましょう。
十分に加熱していれば、トキソプラズマは不活性化するので、生、半生で食べるのは危険ですね。
また、食べるときだけではなく、調理するときも注意が必要です。
生肉を調理するときに使用した調理器具、包丁やまな板からも感染するので注意しなければいけません。
猫からの感染
猫から感染してしまうこともあります。
トキソプラズマはネコ科に寄生しますね。
ネコが感染し、糞を出し、その糞をねずみが食べ、感染したねずみにネコが噛みつき、新たなネコにまた感染し、悪循環によりトキソプラズマが生き続け増殖し続けるのですね。
また、ネコの糞を掃除すると、手についたトキソプラズマを落としきれていないと、手から口へと移り感染してしまいます。
ネコが糞をした土で育った野菜を摂取して感染してしまうこともあります。
子供との砂場遊びでも、ネコの糞から感染してしまうことがあります。
胎盤からの感染
胎盤から感染してしまうこともあります。
通常、腸管内でトキソプラズマの感染は起こります。
母体が妊娠しているてトキソプラズマに感染すると、胎児にまで影響が及ぶことがあるのです。
胎盤を経由し感染してしまうことがあるのですね。
妊娠初期に感染する確率は低いものの、重篤化しやすい傾向があります。
妊娠後期になるにつれ、感染確率は高まりますが、軽く済む傾向があります。
その他の感染
粘膜や外傷に触れてしまい感染することがあります。
誤って注射を打つ、飛沫により目や鼻に飛ぶなどが起こった場合に感染します。
また、臓器移植、輸血により感染することもあります。
トキソプラズマ症の症状とは?
トキソプラズマ症の症状や初期から後期に感染した場合のそれぞれの症状についてご紹介します。
妊娠初期
妊娠初期に胎児に感染するという可能性は低い時期です。
しかし、感染してしまった場合、重篤化しやすくい時期です。
原虫は中枢神経の発達に影響を与えてしまうため、感染してしまった場合、水頭症や頭蓋骨形成異常、大頭症が起こってしまいます。
感染した場合、流産、死産の可能性もありますし、出産後数ヶ月後に亡くなってしまうこともあります。
ひきつけ、神経運動障害、異常反射などが起こる傾向があります。
妊娠中期
4ヶ月以降に感染した場合、内臓、消化器官に影響が出てしまいます。
黄疸・肝臓肥大・粘膜からの出血が見られることがあります。
妊娠後期
妊娠後期の感染のリスクは約70%と高くなります。
しかし、感染した場合でも比較的症状は軽いという傾向があります。
精神運動発達の遅れ、ひきつけ、頭蓋骨肥大などの症状が見られるのですが、殆どの場合はなかなか気づかれません。
出産後、しばらく経ってから、先天性トキソプラズマ症と診断されます。
慢性感染に移行してしまうことがあるため、早期発見早期治療が大切です。
感染した場合、8割、リンパが腫れる程度で済みます。
主な症状はリンパの腫れ、筋肉痛、発熱ですね。
トキソプラズマの治療方法
トキソプラズマの治療法としては通常、症状が出ないため、治療は必要ありません。
しかし、症状がでた場合は、ステロイド薬による治療が行なわれます。
ところが、妊娠中に感染し症状がでた場合、ステロイドによる治療を行なうことはできません。
胎児に感染しないように、スピラマイシンという薬の使用が必要となります。
21日間薬を服用し、14日間服用しないというものを分娩まで繰り返します。
必ず胎児への感染を防ぐことができるというわけではないものの、重症トキソプラズマ症の発生率を大幅に下げることはできます。
トキソプラズマ症の検査方法!
トキソプラズマ症の検査方法についてです。
ネコを飼っていて心配というときなども、医師に相談すれば検査してもらうことができるでしょう。
検査時期は?
検査は妊娠初期の4週目から12週目の間に検査することが可能です。
血液検査が行なわれます。
血液検査で、トキソプラズマ症に感染している場合は、血液から原虫が見られます。
尿や唾液、体液からも見られるものの、血液無い、リンパの中から原虫を見つけるのはかなり困難です。
そのため、血液検査で原虫ではなく抗体が調べられます。
検査した際、抗体がある陽性であった場合は、初めての感染が済んでいるため問題ないとされます。
胎児への影響もありません。
しかし、妊娠中に感染した場合は危険ですね。
陽性反応がいつのものなのか、数値を入念に調べられます。
妊娠中のトキソプラズマ症の予防方法!
では妊娠中に感染してしまうと、危険なトキソプラズマ症はしっかりと予防することが大切ですね。
感染予防の方法についてご紹介していきます。
手洗い
常に毎日の調理前後に、しっかりと手洗いを入念に行なういましょう。
ゴム手袋
園芸での土いじり、砂場には注意しましょう。
行なう場合ばゴム手袋を使用した状態で行なうと良いです。
また、ネコの糞を処理するときもゴム手袋を活用したほうがよいですね。
そのゴム手袋も使用する時以外は外においておくか、一回ごとに捨てることができるものもおすすめです。
食べ物
食べ物にも注意することが予防になります。
トキソプラズマは熱に弱く、十分に加熱すると安心です。
焼き肉はもちろんですが、ハムやサラミから感染することもあるので加熱してからのほうが安心ですね。
また、牛乳も殺菌していないものは避けたほうがよいでしょう。
野菜もしっかりと水で洗うだけでは不十分なこともあります。
そんなときは殺菌作用のある酢水で洗うという方法をおこなってから生で食べるとよいですね。
調理の際も素手で生肉を触るのは控えたほうがよいです。
ネコ
ネコを飼っていて、トキソプラズマ症を防ぐためには、外に出さずに飼うのが一番の予防法となります。
また、野良猫を触れたりするのも避けましょう。
犬
犬からのトキソプラズマ症にも注意が必要です。
犬の半数以上にもトキソプラズマが寄生していると考えられています。
一方で犬の場合、便から原虫が排出されることはないので、100%ではないものの、犬から人間に感染するということはほぼないといえます。
しかし、糞を処理する時などは、ゴム手袋の着用をおすすめします。
まとめ
妊娠中のトキソプラズマ症の感染には十分注意が必要ですね。
トキソプラズマ症の予防をしっかりとしましょう。
しかし、妊娠したからと言って、飼っているネコを手放したり、隔離したりという必要はありません。
便の処理などに注意しながら過ごしたいですね。