1人目を帝王切開で出産した妊婦さんが2人目を自然分娩するには?

1人目に帝王切開を経験した妊婦さんが、2人目を出産するときに自然分娩で産むのか、帝王切開で産むのが良いのか悩みますよね。
経産婦さんの出産方法は、TOLAC(トーラック)やVBAC(ブイバック)などと言われることがあります。
産婦人科が舞台となるドラマで注目され、よく使われるようになった言葉です。
VBAC(ブイバック)は知っているけどTOLAC(トーラク)は知らない…一緒じゃないの?と思っていることも少なくありません。
そこで今回は、経産婦さんの出産方法、TOLAC(トーラック)について詳しくご紹介します。
目次
1人目は帝王切開!2人目の出産方法とは?
TOLAC(トーラック)って?
TOLAC(トーラック)とは、1人目を帝王切開による出産した方が、2人目は自然分娩での出産をチャレンジすることを指します。
帝王切開後の自然分娩の試みのことを英語の頭文字をとって、TOLAC(Trial of labor after caesarean section)と呼びます。
1989年~1991年までの間に帝王切開を経験したママは、次の妊娠の際の帝王切開率は20~30%ほどでした。
ところが、2010年に89%までに上昇していたのです。
一方で、帝王切開での出産は、血栓症、膀胱や腸管の損傷のリスクがあります。
更に、帝王切開を2回繰り返すことで3人目妊娠時に子宮破損のリスクも高まるため、帝王切開後の自然分娩が見直されるようになったのです。
TOLACとVBACの違いは?
1人目で帝王切開を経験した後に2人目で自然分娩を行うことをVBACと言われてきました。
そのため、TOLACとVBACは一緒だと思っている方が多いです。
しかし、混乱を避けるために、帝王切開での出産経験があり、経産婦さんが自然分娩にチャレンジすることをTOLAC(トーラック)といい、帝王切開後の自然分娩が成功したということをVBAC(ブイバック)を指すのです。
つまり、TOLAC(トーラック)は帝王切開後の自然分娩にトライすることであり、それが成功するとVBAC(ブイバック)となります。
TOLACの成功率は?
TOLACの成功率って気になりますよね。
TOLACの成功率は60%~80%と言われています。
1人目の帝王切開が胎児機能不全、骨盤位妊娠などの理由で行われたという場合のTOLACの成功率は、帝王切開の経験がない妊婦さんと差がなく、成功率が高いです。
しかし、1人目の帝王切開を行う理由が難産により取られた処置であったという場合や、それ意外の理由で行われたという場合は、TOLACの成功率は低く、50%~70%となります。
その他、高齢出産や妊娠40週以降、肥満、妊娠高血圧症候群、合併症、前回からの妊娠の期間が短かった、というような場合もTOLACの成功率が下がります。
1人目の帝王切開後の自然分娩が既に成功している人やTOLAC中に陣痛誘発、促進剤が必要ないという場合は成功率が高まります。
TOLACのリスクは?
TOLACの安全性については科学的に確実なデータがないのです。
TOLACが成功しないという場合、緊急で帝王切開が行われ出産となります。
稀に子宮破裂が起こることもあります。
子宮破裂が起こった場合は輸血、緊急子宮摘出手術が必要となることもあります。
またその場合、中枢神経、呼吸、循環状態に重篤な影響を与えてしまうこともあります。
ものすごく稀ではありますが、起こってしまった場合は母子ともに命に危険が及ぶので注意が必要となります。
TOLACを選択するには?条件は?
TOLACができる場合とできない場合があります。
帝王切開での出産経験がある場合、次の妊娠の際に前置胎盤、癒着胎盤の可能性が高まってしまいます。
今後の妊娠計画についても医師に相談した上で分娩方法を決定しなければいけません。
TOLACができる人の条件としては以下のことが挙げられます。
書面での了承が必要
TOLACを行う場合は、書面での了承が必要です。
分娩の方針を決めるために、医師は経膣分娩の場合と帝王切開での場合のメリットやリスクが説明されます。
その説明を受けた上で書面で了承する必要があります。
TOLACによるリスクがない
TOLACによるリスクになってしまう要因があると判断された場合はできません。
以下の様な場合は行うことができます。
- 帝王切開の経験が1回あり子宮の下の部分を切る下腹部切開により行われた。
- 術後の経過が良好。
- 狭骨盤ではない、胎児の頭と骨盤の大きさが釣り合っている。
- 児頭骨盤不均衡がない。
- 子宮体部筋層まで達する手術をしたことがない。
- 子宮破裂経験がない。
という場合はチャレンジできます。
分娩継続の監視ができる
TOLACを行った場合、精通した医師や助産師、看護師が常駐していれば行うことができます。
また、分娩の監視が行える体制が確立している必要もあります。
緊急手術の体制が整っている
緊急手術の体制が整っていることも大切です。
- 輸血が確保されている
- 緊急帝王切開を行うことができる
- 子宮破裂が起こっても速やかに緊急手術が行える
- 緊急手術になる場合の術前検査が行える
- 緊急手術の同意を得られている
妊婦側ではなく、病院側の設備や体制によってもトライできるかどうかが変わってきます。
早めにかかりつけの産婦人科医に相談してTOLACにトライできるかどうか確認しましょう。
他にも、医療施設ごとに細かい条件があることもあるので確認しておく必要がありますね。
まとめ
1人目に帝王切開した場合、2人目は自然分娩で産んでみたいと思う妊婦さんはいると思います。
自然分娩であれば、出血も少なく、産後の回復が早かったり、お腹に傷が残らなかったりなどのメリットもあるのでトライしたいものの万が一のリスクもあります。
分娩方法を決める際は無理はせず、自分の過去の出産や体質などと向き合い、医師との相談を重ねて決めたいですね。
更に、3人目の出産の予定も見越して決めることが大切です。
ママ自身の考えも大切にしながら出産方法を決めましょう。