赤ちゃんが突然手足をつっぱる?!赤ちゃんのウエスト症候群の症状、原因、治療法!

赤ちゃんに起こるウエスト症候群は、点頭てんかんとも呼ばれることのあるものです。
てんかんという名前が付くウエスト症候群ですが、てんかんとは異なる症状が起こるため、なかなか気づかず発見が遅れるということが少くありません。
そこで、今回は赤ちゃんのウエスト症候群について、症状や原因、治療法について詳しくご紹介しますね。
目次
ウエスト症候群とは?
ウエスト症候群は、点頭てんかんとも呼ばれるものです。
起こりやすい時期は生後4ヶ月頃から、1歳以下の赤ちゃんです。
2歳以上でウエスト症候群は発症するということはほぼありません。
発症のピーク期としては、生後5、6ヶ月と言われています。
子供におこるてんかんの中でも、ウエスト症候群は最も発症率が高く、日本に4000人以上の患者がいるだろうと推測されているほどです。
ウエスト症候群(点頭てんかん)の場合、発作は2,3歳までに消えることが多いものの、他の発作が起こるようになってしまうということも多いです。
ウエスト症候群に見られる症状
ウエスト症候群に見られる症状についてご紹介していきますね。
ウエスト症候群は気づきにくく発見が遅れてしまうことも多いので、症状をしっかりと把握し確認することが大切ですね。
特徴的なシリーズ発作
まずはシリーズ発作という特徴的な症状が起こります。
ウエスト症候群の場合、発作は0.2~2秒ほどの短い発作が数秒間隔で起こります。
20~40回繰り返されます。
多い場合は100回ほど繰り返されることもあります。
1日に10回以上起こります。
一瞬縮める発作(スパズム)
短い発作は、0,2~2秒間で、首や手足や体幹が左右にピクっと屈曲するという症状です。
ウエスト症候群は、点頭てんかんと呼ばれることもありますが、この点頭はうなずくという意味があり、首の屈曲がうなずくような仕草に見える発作でるため、点頭てんかんとも呼ばれているのです。
赤ちゃんは頻繁に身体を動かすため、一瞬縮める発作は気づきにくいですね。
つっぱる発作
一瞬縮める動作(スパムス)の後、泣き出すことが多いのです。
しかし、突然手足をぐっと10秒間ほど伸ばすことがあります。
突然バンザイするような症状です。
つっぱる発作が起きています。
ウエスト症候群の症状が起こるタイミング
ウエスト症候群の症状が起こりやすいタイミングとしては、寝起き、寝入りの時に起こりやすい傾向があります。
ウエスト症候群ではない場合も?!
ウエスト症候群のような症状が見られた場合、ウエスト症候群かもしれないなと心配になりますね。
しかし、赤ちゃんはウエスト症候群じゃなくても、上記のような仕草を見せることがあります。
発作が起こっているのかもしれないなというときに、抱っこをしてみたり、つねったりすると、発作のような症状がおさまることがあります。
その場合、ウエスト症候群ではない可能性が高いのです。
抱っこやつねったりしてみても、発作のような症状が止まらないという場合は、ウエスト症候群である可能性が高いと考えられますね。
ウエスト症候群の原因
ウエスト症候群の原因は2つあります。
潜因性と症候性があります。
潜因性の場合、周産期に異常はなく、発症前の発達にも異常が無く、他の発作が無い、検査でも異常がないという場合です。
ウエスト症候群の10~40%は潜因性となります。
一方、症候性の場合はいくつかあります。
結節性硬化症
結節性硬化症の場合、神経系、皮膚、骨、肺等などの至る場所で過誤腫と呼ばれている良性の腫瘍、過誤組織ができてしまいます。
結節性硬化症の場合、約80~90%の患者さんにてんかんの症状が起こり、ウエスト症候群を発症します。
その他の脳形成異常
結節性硬化症の他には、脳形成異常である、神経線維腫症、脳漿欠損症、全前脳胞症などが原因で、ウエスト症候群が発症することもあります。
周産期脳障害
周産期脳障害でウエスト症候群になることもあります。
低酸素性虚血性脳症、低血糖などが原因で起こり、ウエスト症候群に繋がります。
頭部外傷
頭部外傷が原因でウエスト症候群が発症するいことがあります。
髄膜炎
髄膜炎という脳と脊髄を 覆う場所に細菌やウイルスが感染し、急性の炎症が起こるのが髄膜炎です。
髄膜炎が原因となり、後遺症としてウエスト症候群が発症することがあります。
ダウン症
ダウン症が原因で、合併症としてウエスト症候群になることがあります。
ウエスト症候群の検査方法
では、ウエスト症候群の検査方法や治療法についてです。
脳波検査
ウエスト症候群の疑いがある場合、脳波検査が行われます。
脳波検査では、ヒプスアリスミアという特徴的な脳波があるかどうか観察が行われます。
頭部画像検査
ウエスト症候群の場合、脳形成異常、脳室周囲白質軟化症などが原因となり起こっていることがります。
そのため、頭部画像検査の頭部CTや頭部MRI検査により、基礎疾患の有無について検査が行われます。
血液検査・尿検査・ 髄液検査・血液ガス
4つの検査と共に、ミトコンドリア異常、代謝異常の検査が行われることもあります。
その他の検査
ウエスト症候群の原因をしっかりと突き止めるために、様々な検査が行われることとなります。
症状、身体の所見等などからウエスト症候群の疑われる原因について、その子その子に合った必要な検査が行われます。
また、ARX遺伝子などを検査するための遺伝子検査、代謝異常の検査、ダウン症などの原因となる染色体を確認する染色体検査という検査も行われることがります。
ウエスト症候群の治療方法
ウエスト症候群の治療方法はいくつかあります。
抗てんかん薬投与
ウエスト症候群だと判明した後、入院をし、抗てんかん薬を内服します。
複数の抗てんかん薬が使用され、抗てんかん薬の効果が得られなかった場合は、早急にACTH療法に切り替えられます。
ACTH療法
ACTH療法は、ウエスト症候群に対して、最も効果的な治療法だと言われているものです。
ACTH療法(副腎皮質刺激ホルモン療法)は、入院による治療法となります。
投与が始まると、約1,2週間ほどでてんかんの症状がおさまることが多いです。
高血圧、脳室出血、感染症などという副作用が起こることもあるので、治療前に心配なことはしっかりと相談し、不安要素を取り除いておくとよいですね。
治療中も心配なことなどがあれば、すぐに医師に相談し、話を聞いてみましょう。
ウエスト症候群は完治する?
ウエスト症候群は、治療がとても難しいと言われている病気です。
治療により、ウエスト症候群のてんかん症状が収まっても、精神発達遅滞がおこることが多いのです。
ウエスト症候群の場合、完治できるか、予後が良い状態となるかは、治療を始める時期がポイントとなります。
早期発見し、早期治療にとりかかることで、約50~80%の症例では発作の改善が見られています。
精神発達遅滞も少くなると判明しています。
ウエスト症候群は早期発見、早期治療が重要!!
ウエスト症候群は上記でもご紹介したように、早期発見早期治療がものすごく重要なポイントとなります。
早期発見早期治療が必要ですが、ウエスト症候群についてを知らなければ、てんかんの発作が起こっていてもなかなか’気づけません。
赤ちゃんの場合、モロー反射もあるため、てんかんの発作をモロー反射だと勘違いし、見逃してしまうということも多々あります。
ウエスト症候群の症状についてよく知り、もしも心配になるような発作のような症状が見られた場合は、躊躇せずに小児科に受診し相談してみましょう。
多分ウエスト症候群じゃないだろう…と受診を躊躇してしまいますが、何も無ければ安心だという気持ちで受診することをおすすめします。
まとめ
ウエスト症候群は早期発見、早期治療がものすごく大切です。
赤ちゃんの様子を普段から観察し、もし発作のような症状が起こった場合は、動画で録画しておきましょう。
発作のような症状が起こった回数や時間などもメモして記録しておくとよいです。
小児科へ受診する際、発作が起こった回数、時間などのメモや録画したものを見せながら相談するとよりスムーズに診断できるのでおすすめです。